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文/佐藤朋子
番外編 サッカーと世界の友達と
 皆さん、サッカーワールドカップを楽しんでますか? 私はこれまであまりサッカーのことに詳しくなかったのですが、熱狂的なアズーリ(イタリアチーム)ファンの友人に影響されて、今回のW杯ではルールも覚え、選手も覚え、プレイスタイルの違いなども分かるようになり、かなり熱を込めて応援しながらテレビ観戦する日々です。

 このW杯における、驚きや哀しみや喜びに満ちた様々な出来事について、個人的には溢れるほどの想いを抱いていますが、その辺りは胸にしまっておくことにします。皆さんの中でも、きっと何らかの感情がわき上がっている方がいるのではないかと想像しながら……。

 一方、世界から様々な国が参加するこの行事は、私にとって、世界に散らばっている、二度と会うことはないかもしれない友人達を思い起こす、いいきっかけになってくれました。サッカーという競技は、それぞれの国の国民性を面白いほどに表してるんですね。

 というわけで、今週はサッカーを観戦しつつ脳裏に蘇ってきた、世界の友人達の話を「番外編」としてお届けします。

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 真っ赤っかのスタイルで応援する熱狂的なサポーターといえば、今大会共同開催国、韓国。留学先のサンディエゴの語学学校で、一番最初に友達になったのは、韓国人だった。同じクラスでたまたま隣りの席になった、スン・ヒャンという女の子。
 挨拶もそこそこに、
「ねえねえ、あのクラスのスペイン人の男の子、見た〜? とってもキュートね」
「あっちのクラスに入りたかったねー」
 なんて、日本人の女の子同士でもよくある他愛ない会話が交わされ、緊張が吹き飛んで、な〜んだ、韓国人もおんなじじゃーん、と私は喜んだのだった。
 語学学校には日本人とともに韓国人留学生がとても多く、たくさんの友達が出来た。けれど、仲良くおしゃべりするのは校内でだけだった。なぜなら彼らはプレイベートでは、必ず韓国人同士で一緒にいたからだ。血がつながっていなくとも、同胞ならば年下は「弟 or 妹」と呼び、そう呼ばれる彼らもまた「お姉さん or お兄さん」と呼ぶ。私ははじめ、全員本当の兄弟、姉妹なのかと思ったほどだ。民族としてのつながりが濃いんだなと驚いたのだが、今大会の彼らの応援ぶりを見ればうなずける。

 それから印象的だったのは、同じ家にホームステイしていた韓国人の女の子だ。彼女は快活で頭のいい子だったが、少々自分勝手なところがあった。ステイしていた3人で共有していた電話が鳴ると、必ず真っ先に出て「アニョー!」と電話口で叫ぶのだ。日本からわざわざかけてきてくれた私の友人は、間違い電話をかけてしまったと思い、何度か話をすることが出来なかったこともある。これは何回注意しても直らなくて、本当に迷惑だったのである。
 韓国サポーターの熱狂的すぎる応援を見ながら、またそれに関する様々な報道がされるたびに私はそんなことも思い出した。

 さて、私はイタリアサッカーのスタイル、そしてもちろんイケメン揃いの選手達が好きなのだが、彼らのプレイを見るたびに、ほんっとイタリア人だなあ……とつくづく思う。セリエAのリーグ戦の最中もそうなのだが、髪をかきあげてばかりいたり、手を抜くところは見た目にも分かるほどしっかり手を抜いていたり(ドイツチームではあり得ない)、でも魅せるところは魅せる。華やかで派手でずる賢い魅力的なサッカーだ。イタリアの選手達は国ではセックスシンボルなのだそうだ。
 そう、ラテン系の男の子はなんといっても手が早い。たとえば、教室で私が前のほうに移動しようとしたとき、あるイタリア人の男の子が横に伸ばしていた足に引っ掛かって倒れそうになってしまったことがある。その時、よろめく私をしっかりと抱き留めて、腕を優しくさすりながら、
「I'm so sorry. Are you OK?」
 睫毛たっぷりの瞳を切なそうに見開いて、私の目をじっと見つめながら囁くのだ。
 日本人の男の子にはけっして真似できないだろうなと思う。(失礼!)
 アズーリが敗退してしまって残念だ。

 様々な国から生徒が集まっていたわけだが、やはりどうしてもアジア系、欧州系、アラブ系、とパーソナリティが似通った国同士で親しくなることが多かった。私が一番安心して親しくできたのは、台湾人やベトナム人やインドネシア人、フランス人はちょっと近寄り難くて、サウジアラビアから来ていた生徒は妻子と使用人を何人も連れてくるような人が多くて、もう、住んでいる世界が違った。
 例外は、スイス人とトルコ人だった。彼らはアジア系を特に気にすることなく、フレンドリーだったように思う。彼らとは一緒にラスベガスまで小旅行をしたり、ホームパーティをしたりした。さすが永世中立国とアジアとヨーロッパの間にある国だ、と思ったものだ。

 そういえば、ホームパーティの仕方にもお国柄が表れて面白かった。日本人の、特に女の子は、招待されていたとしても、気を遣ってお皿を下げたり、お酒を運んだり、終わった後も後片付けをきちんと手伝う。それを見たスイス人の女の子は、
「ジャパニースガールは素晴らしい! 私達も見習わなきゃ」
 なんて言いながら、決して動こうとはしない。
 アメリカ人は、
「招待されたなら、その家の冷蔵庫は僕のもの。汚して、さっさと帰る。これがア メリカンウェイだ!」
 と開き直っていた。
 台湾人の友達は何から何まで手作りの料理を作ってくれ、ラテン系は羽目をはずし盛り上げ、トルコ人は節度をわきまえていた。でも後から、
「あなた酔っ払ってたわね」
 なんてチクチク言ってくることもある(これは個人の性格だろうが)。

 ともあれ、今日(26日水曜日)はブラジル−トルコ戦だ。
 ブラジルチームもとても魅力的だが、「I think」ときちんと発音できなくて、「アイ・シィンキ」と言い続けたトルコ人の友人達を思い出しながら、トルコチームを応援しようと思う。

(この原稿を書き終えて数時間たった今、見ました。終わりました。感動しました。結果はブラジルが勝ったけれど、とてもとても素晴らしい試合。)

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