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 会社に勤めていた頃、忙しくなるとよく「あぁ、一日が36時間あればいいのに」などと思っていた。36時間と言わず、28時間でもいい。一日が24時間でなくもう少しだけ長ければ、残業しても睡眠不足にならないで済む。そう、わたしはより多くの仕事の時間が欲しいのではなく、残業をすることで奪われてしまう睡眠(休息)時間が欲しくてそう思っていた。
 睡眠不足は大敵なのだ。
 目の下にはおぞましいクマが現れ、仮に楽しい時間を過ごしたあとでも酷い気分になり、出来れば誰にも会いたくないと思い、「早く家に帰ってベッドに倒れ込んで眠りたい!」という気持ちで一杯になる。
 仕事ではやむおえず徹夜する場合もあるが、大晦日を寝ずに過ごしたことは数えられるほどしかないし、試験前の徹夜など一度もしたことがない。たった一日の睡眠不足でも体調が悪くなるのは高校生のときからで、なんだか損してる気分になることもしばしば…
 それでも、わたしにとっては「眠り」はおろそかにしたくない大切なことなのだ。眠りたいと思った時にぐっすり眠れると暖かく幸せな気持ちになる。
 先日、ある血液型性格判断(AB型)の本を読んでいたら、『アンパンマン』の作者として有名なやなせたかしさんのコメントが寄せられていた。彼はこの本に出会うまで、血液型で性格を判断するなどという話にはほとんと興味を持っていなかったという。ところが、ある一文を読んで妙に納得したというのだ。それは「AB型は、お土産を買わない、睡眠不足に弱い」ことだったそうだ。
 どれだけの人が血液型人間学の類いを支持するのかわからないが、少なくともわたしは自分の血液型についての解説文には、大いにうなずける部分があると思っている。それによれば、ほかの血液型の人に比べてAB型の人は疲れやすく極端に睡眠不足に弱いのだという。わたしはこれを読んで「眠り」に対する執着への大義名分が出来たような気がしてなんとなく安心した。
 「眠り」――そこには不思議な世界がある。
 世界中の睡眠研究者が一番多く質問され、その答えに窮するのは「人はなぜ(何のために)眠るのか?」という問いだそうだ。一方、それに対する明確な答えはないのだが、かと言って「ずっと眠らない」というのも不可能なのだ。
 わたしも「眠らないでいられたら、その分色々なことが出来ていいかも!」などと考えることはあった。けれども、実際は眠りそのものの心地良さを失いたくない気持ちのほうが強いのである。例えば、これは人に言うと呆れられるのだが、就寝中に地震があって目が覚めても、よほど揺れないかぎりわたしは起き上がろうと思わない。つい、眠気という欲求(=快楽?)に負けてしまうからだ。
 「なぜ眠るのか?」という科学的な根拠はともかく、人は無意識に心地良さや安らぎを求めて眠りに落ちるのだとわたしは思う。肌寒い季節の朝、誰もが「もう少しだけ暖かい布団の中にいたい」と思うのは、そうしていることのほうが心地良いからだし、眠っているあいだは周囲の騒音も気にならず、何かに悩ませられることもないのだから。実際には眠っている時の感覚は記憶されていないわけだが、わたしはウトウトと眠くなるときと安眠から覚めるときは、ある種うっとりするような愛おしい気持ちになる。こんなのってオカシイだろうか?
 ところで、眠りと深い関係にある不思議なものといえば「夢」である。
 わたしはほとんど夢を見ない。いや、厳密には「見ても覚えていない」というのが正しい。ご存じの方も多いかもしれないが、睡眠の状態はノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)とがあり、人はレム睡眠の時には何かしらの夢を見ているのだ。およそ百年前に心理学者のフロイトによって深層心理と夢の関係の研究が始まったのだが、夢の意味を正確に捉えるのは難しいと言われている。恐ろしい夢や不快な夢でないかぎり、夢は覚えていたほうが楽しい。わたしもただ眠るだけでなく夢を見られるようになれば、更に眠るのが楽しみになるかもしれないな…。
 一方、近年の社会事情のなかでは24時間営業の店が増え、多くの人々が夜型生活者になっている。昼夜問わず不規則な生活を続けると身体が本来のリズムを崩してしまい、睡眠障害になる人も少なくないという。人には睡眠中にしか生成されないホルモンなどの体内物質があり、本来は質の高い睡眠をとることは誰にとっても大切なことだ。わたしの周囲にも多い夜型生活の友人たちのことが少々心配になってしまう…
 いつでもどこでも、目を閉じればすぐに眠れる「のび太くん」のような人をわたしはちょっと羨ましく思う。そのうえ寝起きも良いなら元気で楽しく過ごせるだろうなぁ、なんて思ってしまう。旅が好きなくせに、場所や寝具が変わると熟睡できないわたしの安眠・快眠への欲求は人一倍なのだ。
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