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文/堀本真理美

【PETE YORN / Lose You】
PETE YORN (収録アルバム:musicforthemorningafter)(c)2001 SME Inc.

 去年のはじめ頃だったか特にあてもなくCDショップのラックを見回していたとき、 一枚のアルバムジャケットが目に止まりました。四角く切り取られたモノクロームの 壁際を通り過ぎる美青年、それがピート・ヨーンでした。つぶらな瞳でシャイな笑顔 を向けられたら……無精ヒゲでも許しちゃう(笑)
 もちろん彼の素晴らしいところはルックスだけじゃない。もともと彼が注目された きっかけは、日本では2001年に公開されたジム・キャリーとレニー・セルヴィガー主 演の“ふたりの男とひとりの女(原題:Me, Myself & Irene)”という映画のサント ラに収録された Strange Condition という曲。権威ある音楽誌 Rolling Stone には 「2001年のベスト・ニュー・バンド」のひとつと称された実力派なのです。
 存在感のあるシンプルでビートのきいたロックも良いけれど、この Lose You のよ うに柔らかく低いトーンのヴォーカルが繊細なメロディラインにしっくりと馴染むス ローナンバーがわたしのお気に入り。
 ところで、あなたは「どんな人が好み?」と聞かれてすぐに答えられる明確な異性 の理想像を持っていますか? わたしの場合は…そういうイメージは曖昧なほうで全 体的な雰囲気に惹かれるタイプ。だから女友だちにはいつも「アンタよくわかんない よ。面食いかと思えばそうじゃないしさ!」と嘆かれてます。
 昨年末、学生時代の友人からシレッと結婚報告が。彼女曰く「本当にただの友達だ と思っていて結婚なんて絶対考えてなかった」ですと。一方で、ずっと仲良しで知ら れたカップルが結婚した途端に“人は見かけによらない!”というビックリ事実が発 覚して別れたことも。
 いずれにしても、自分の「理想」なんてアテにならないというか、あってないよう なもの。つくづく「縁」とは不思議なものです。
(以下、歌詞抜粋)

Stop before you fall into the hole that I have dug here,
(僕がここに掘った穴に落ちてしまう前に止まって)
Rest even as you are starting to feel the way I used to,
(僕が以前感じていたみたいに君が感じはじめたとしてもそのままでいて)
I don't need a better thing
(もっとマシなことなんて必要ないよ)
Just to sound confused
(混乱してみえるだけさ)
Don't talk about everyone,
(みんなことなんか話すなよ)
I am not amused by you.
(僕はおもしろく思ってなんてないんだ)

I'm gonna lose you, yes I'm gonna lose you
(僕は君を見失いそうだ、そう、君を)
If I'm gonna lose you, yes I'm gonna lose you,
(君を失うかもしれない、そう、君を)
Yeah I'm gonna lose you, If I'm gonna lose you
(君を見失いそうなんだよ、もし君を失うとしたら)
I'll lose you now for good
(いまこれを最後にずっと…)

 まず、この曲が収録されたデビュー・アルバムのタイトルの morning after には 「後の祭り/後悔/二日酔い」といった意味があるのですが、 after の後ろに next をつけるだけで「明後日の朝」という普通の時制表現になるからややこしい(笑)
 lose(ルーズ)は「負ける/失う/損をする/減らす」といった意味で、この場合は もちろん「失う」ってこと。「彼は時間にルーズだ」というときのルーズは、O が一 つ多い「loose(ルース)」から派生しているのですが、実際の英語表現では「he is unpunctual」と言うのが普通なので注意して下さいね。
 dug は dig(ディグ)の過去形。多くは「掘る」という意味で使われますが、口語 では「丹念に調べる/理解する/探す」という意味でもよく使われます。
 rest で思い出すのは、人が亡くなったときに使う「rest in peace(安らかに眠る )」という慣用句。略して「R.I.P」と使うこともあります。
 最後にある for good というのは、「いつまでも/永遠に/末永く」というように簡 単でよく使うので覚えておいてね。
 ほかの部分の歌詞も含めてこの曲は、「失うのは怖いけど、二人でこれ以上うまく やっていけない。愛しているけど僕は行くよ」というような、大切にしていたものを 手放なさなくてはならない事態に対する切なさを歌っているのだと思いました。

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