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文/堀本真理美

【RUFUS WAINWRIGHT / The Tower of Learning】
RUFUS WAINWRIGHT (収録アルバム:Poses)(c)2001 SKG MUSIC L.L.C

 “ルーファス”はラテン語で「赤」を意味する。ルーファス・ウェインライトは赤みがかった髪を持つハンサムなカナダ人青年だ。名前も文学的で、思わず「ルーファス様」と呼びたくなる王子系シンガーソングライターだと、わたしは勝手に思っているのだけれど……残念ながら彼はゲイを公言している。とすると、彼の恋の相手は同性……、ま、人を好きになる気持ちはゲイであろうがヘテロであろうが関係なくすてきなもの。
 この曲での浪々たる歌声は、ルーファスが大好きだというオペラの影響が見隠れしているような気がする。美しく、時に荘厳ささえ漂わせ、けだるく艶やかで、優雅でドラマティック、それが彼の声。これほど色気があってもちっとも下品な感じがしないのは、彼に「人間的な魅力」が溢れているからなのだろう。
 彼は音楽的に素晴らしい能力を持っているだけでなく、そのルックスも同じくらい魅力的であるとわたしは思う。ライヴは見たことがないが、写真をみるだけでも彼の瞳には惹き付けられてしまう。すべての人がそんな風に感じるわけではないと思うけれど、それはまさに「視線の魔力」。
 過去に「視線の魔力」とまでは言わないけれど、何人かの印象的な目をした男性に出会ったことがある。そのなかのひとり、A君は大学時代のサークル仲間。あるとき彼が何か話しながらわたしと握手をしてジッと目を覗き込んだそのとき、わたしは本能的に彼に他の男の子とは違う何かを感じた。それまで「そんな目」をした男の子は記憶になかった。翌日別の男の子に、「アイツには気をつけろよ、手が早いから」と言われ、「ああ、同世代の男の子でも“色気”ってあるものなんだなぁ」と、あとになってドキドキした。もう彼の顔も名前も思い出せないけれど、目と目が合ったあの瞬間のことは、今でもはっきり覚えているのだった。
(以下、歌詞抜粋)

I really do fear that I'm dying
(死んでしまうじゃないかって本当に恐い)
I really do fear that I'm dead
(僕は本当に死んでるんじゃないかって恐いんだ)
I saw it in your eyes what I'm looking for
(君の瞳のなかに探していたものを見つけた)
I saw it in your eyes what will make me live
(君の瞳のなかに僕を生かすものを見つけたんだよ)

All the sights of Paris, pale inside your iris
(パリ中の名所が、君の瞳のなかで色褪せていく)
Tip the Eiffel Tower with one glance
(一瞥でエッフェル塔を傾ける)
Stained glass cathedrals with one glint
(きらりと光る大聖堂のステンドグラス)
You smashed it with your eyes
(君は眼で粉々にする)
What I'm looking for
(僕が探していたもの)
One blink and then my heart wasn't there no more
(瞬きひとつで、僕の心はもうそこにはないんだ)

I'm looking for the tower of learning
(僕は学びの塔を探してる)
I'm looking for the copious prize
(たくさんの素晴らしいものを探してるんだ)

 まず、I really do〜というのは really も do も、その後ろに来る動詞の意味を強調します。ですから、例えば hopeや think など、単語を入れ替えていろいろ便利に使えるので活用してみて下さいね。
  All the sights〜部分の、pale は「淡い、薄い」という形容詞として使うことが多いけれど、ここでは動詞の役割をしています。iris とは眼の「虹彩 」のことですね。
 Tip the Eiffel Tower とありますが、日本語では原語(仏語)のとおりエッフェルと発音しますが、英語ではアイフェルというんですよ。日本語って英語以外のカタカナ表記も多く使うから、英語でも同じだと勘違いしやすいと思いませんか? 地名が良い例ですが、ミラノ(伊)=ミラン(英)、フィレンツェ=フローレンス、トルコ=ターキー、ベルギー=ベルジム、など。
 eyes はもちろんのこと、この曲には one glance、one blink など多くの「目」に関する表現が出てきます。“花の都パリ”の美しい風景も色褪せてしまうくらいの「眼力(めぢから)」の持ち主って・・すごいです。最近カヴァー曲として車のCMに使われている「君の瞳に恋してる(I can't take off my eyes of you)」なんて曲もあるし、恋をすると瞳の奥にキラリと光る何かが見えるものです。そうじゃない?
 わたしは以前、本当に目がキラキラしている人に会って、「あ、瞳にお星様ってこのことなんだ!」と目からウロコが落ちる思いがしたのと同時に、彼に恋してしまったのでした。

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