CosmosLabタイトル


文/堀本真理美

【The ROLLING STONES / It Hurts Me Too】
WHISKEYTOWN (収録アルバム:Jamming with Edward )(c)1972 Virgin

 今回取り上げるのは、先日の'M HERE オフ会&山川編集長の生誕50周年(!)のイベントで復活ライブを行ったTHE RUDIE が演奏したセットリストの中の一曲です。《Cosmos Lab》の中心的読者の皆さんにはほとんど馴染みがないと思いますが、長年のストーンズファン(というか、ブルースが好きな方)ならこの曲をご存知でしょうね。オリジナルは、エレクトリックギターのボトルネック奏法の第一人者 ELMOREJAMES によるものです。
 当日のTHE RUDIE とファンの皆さんのセッションを見ることが出来なかったのですが、どんな感じだったのでしょう。わたしはロックのルーツとしてのブルース・フィーリングは分かるのですが、実はGenuin(本物の)Blues にはどうも身体が馴染んでいかないのです。
 そんなわけで、こちらではストーンズのカバー・バージョンが収録された(これはこれでレアなセッション)アルバムの名前を挙げています。
 ところで、この曲は山川編集長のiNovelに収録した「黒い雄牛」のなかでも取り上げられて、その部分はこんな風です。
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 彼女が置いていったエルモア・ジェームスのレコードに、
 <IT HURTS ME TOO>という曲が入っている。彼は、歌う。

   When things go wrong
 Go wrong with you
 It hurts me too

 おまえがうまくいってない時は、おれもいっしょに傷ついてるんだぜ。
 今のぼくには、このフレーズはそういうふうに聞こえる。ぼくは今、
 ハミングバードではなく、黒い雄牛になりたいと思うのだ。
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(iNovel に関するページ:http://www.yamaken.com/inovel/index.html

 この歌詞の内容はちょっとした三角(四角?)関係のようです。男が愛する女は、他の男に夢中で、たぶん男の気持ちには気づいている。けれど、恋の奴隷になっているときは周りが見えないもの。それでも彼女を愛する男はきっと深く傷ついたのでしょう。  わたしは、なりふり構わず感情むき出しで人を愛せる人がときどき羨ましくなるときがあります。近しい人との間に感情をさらけ出すというのは、根底に本当の心(愛とか、思いやり、と言ってもいいけれど)がなければ互いに傷つくだけだとと思うから。
 とはいえ、自分自身も含めて、良い意味でも悪い意味でも人惹きつけずにはいられない“人間力”のある人物なんてそうはいないもの。わたしはこれからも形に囚われない自分の愛の形を探して旅を続けなくちゃ……なーんて意味深(笑)?
(以下、歌詞抜粋)

You said you was hurting, almost lost your mind,
(おまえは言った。ほとんど正気を失いそうなほど心が痛むと)
And the man you love, he hurts you all the time
(で、おまえが愛する男は、おまえを四六時中傷つけるんだ)
When things go wrong, go wrong with you, it hurts me, too
(事が悪い方向へ向うときは、おまえと一緒。俺だって傷ついてるのさ)

You love him more when you should love him less
(おまえは、愛するべきじゃないときに、あいつをもっと愛してる)
I pick up behind him and take his mess
(おれは後から行って、やつのゴタゴタを引き受ける)
When things go wrong, go wrong with you, it hurts me, too
(事が悪い方向へ向うときは、おまえと一緒。俺だって傷ついてるのさ)

 It Hurts Me の「It」ですが、もしこれが歌でなかったら、長年の学校英語の悪い癖で「It」の意味に頭を悩ませるかもしれませんね。英語には、文脈によってどうともとれる、つまり、文章全体の内容を理解しないとその代名詞を正しく理解できない、ということがとても多いのです。この場合の「そのこと」、わかりますよね?
 hurt は以前にも触れたことがありましたが、精神・肉体の両方の痛みを現すことができます。怪我をした人に Does it hurt?(痛みますか?)と言ったり、恋人とケンカしてしまったとき I didn't mean to hurt you.(傷つけるつもりじゃなかった)と言ったりね。
 go wrong は、文字どおり「悪く行く」という感じで、物事がうまくいかないことや間違える、失敗する、というときに使います。とても口語的なので覚えておくと便利です。If something goes wrong, just give me a call.(もし何かまずくなったら、すぐに電話して)のように。
 You love him〜less と I pick up〜mess の部分が韻を踏んでるのに気づきましたか? less は「より少ない/〜だけ足りない」という意味で、名詞について「〜でない」という形容詞になったりします。painless(痛みのない)、legless(脚のない)、stressless(圧迫のない)とか。何にでもつければ良いってものではないですけどね(笑)
 mess は、もちろん手術用語の「メス」ではありません! 外科用のナイフのことは scalpel と言いますが、メスの語源はドイツ語かオランダ語でしょうか? それはさておき、mess はとにかくめちゃくちゃな様子、ひどく散らかっている状態を指します。動詞としては、「〜を散らかす/汚す/失敗する/〜をいじり回す/邪魔をする」などの意味で使います。
 もし強力な恋のライバルが現れたら、Don't mess with him/her!(私/僕の彼/彼女に手を出さないで!)といって頑張りましょう。

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