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文/堀本真理美

【ROXY MUSIC / Dance Away】
Manifesto (収録アルバム:Manifesto)(c)1979 Virgin EG Records Ltd.

 皆さま、ご無沙汰してしまいましたがお元気ですか?
 ここ2,3年のことでしょうか、テレビ番組のBGMやCMソングとして'70s後半〜'80sの洋楽ロック/ポップスが使用されているのを本当に頻繁に耳にするようになりました。'80sにはウルサイ(?)のわたしとしては「ええっ! その選曲は、その使い方はどうよ?!」と首をかしげることもあるのですが、コンピレーションCDはそれなりに売り上げているようですね。
 で、そういった曲のなかから今回はロキシー・ミュージックの曲を取り上げてみます。なぜか彼らの曲は日本のCMやドラマで使われることが多くて、最近ではトヨタ自動車(クルーガーV)のCMに「More Than This」が、その前にはブライアン・フェリー(ROXY MUSICのヴォーカリスト)のソロ「Don't Stop the Dance」が、富士フィルムや日産自動車のCMで使用されていたのです。'97年頃のキムタク主演ドラマには「Tokyo Joe」が使用され、「あの曲は誰の?!」とブライアン・フェリーも再注目されたそうで。恐るべしキムタク効果。
 ところで、元祖(?)スーパーモデルのジェリー・ホールといえば現ミック・ジャ ガー夫人として有名ですが、実は'75年にブライアン・フェリーと婚約していたこと があります。ジェリーが彼らのアルバム「Siren」のカバーを飾るモデルとして起用 されたのが知り合うきっかけだったようですが、結局二人は別れることに。'80年代 前半にブライアンはジェリーとはかけ離れた印象の女性と結婚しますが、個人的に彼 にはいつも“ミック・ジャガーに婚約者を寝取られてフラれた男”というイメージが 浮かんでしまい、なんだか哀愁を誘うのです……。
 だからというわけではないけれど、紹介するこの曲は失恋の歌。
 あなたは昔の彼/彼女と街でバッタリ遭遇したことがありますか。わたしは今のところそういう事はないのですが、お互いに一人のときならいざ知らず、別のパートナーと一緒だったらドギマギしてしまいそうですね。別れた時の状況にもよると思いますが、まるっきり冷静に明るい対応を出来る人としたら「オトナ〜」って感じ。きっと恋の熟練者なのでしょうね。
(以下、歌詞抜粋)

Yesterday, when it seemed so cool,
(昨日は素晴らしく思えた)
When I walked you home, kiss goodnight,
(君を家まで送っておやすみのキスをして)
I said "it's love", you said "alright"
(僕は言った「これは愛だよ」って。「そうね」と君は言った)
It's funny how, I could never cry, until tonight,
(可笑しいよね、今夜までずっと泣くことが出来なかったなんて)
when you pass by, hand-in-hand with another guy,
(他の男と手を取って君が通り過ぎるそのとき)
You're dressed to kill, and guess who's dying...
(君はとびきり素敵に着飾って、誰ががっかりしてると思う?)

Dance away the heartache, Dance away, tears
(悲しみは踊り明かして、涙を拭い去ろう)
Dance away the heartache, Dance away, fears
(悲しみを消し去って、不安を追い払おう)
Dance away...
(踊り明かして…)

 いつも伊達男とか洒落者風に形容されるフェリー氏ですが、実際は少し違ってユー モアがあって親しみやすいチャーミングな人なのではないかと想像します。
 dance はご存知の通り「踊る」で、この away は副詞で「離れて/消えて/切り離して」というような意味ですが、踊りながら去っていく男の姿を想像するとなんだか少し哀しい感じが……
 walk A home は「A(人)を家まで送る」ですが、動詞を drive にすれば「車で送る」になります。続く kiss goodnight を kiss goodbye にすれば「さよならのキス」となります。
 alright(=all right)は、「大丈夫/申し分ない」といった意味から「分かりまし た」というように使うことが多いでしょうね。または、how are you? などの挨拶替 わりとしても使います。I wonder if she can get there alright.(彼女、向こうに ちゃんと行けるかしら)てな表現もできます。
 pass by は「〜とすれ違う/そばを通る/脇を通る/追い越す」などの意味がありま すが、as years pass by(年月が経つにつれて)という使い方もあります。派生語の passersby(通行人)も覚えておくといいですよ。
 be dressed to kill というのは、常套句というか、パーティなどで女性が男性に アピールする装いをすることを言います。ドレスといえば、a little black dress という表現があります。着るだけでそこそこオシャレに見えるコンサバな黒の丈の短 い(カクテル)ドレスのことで、「困った時の黒のミニドレス」というニュアンスで 今は日本でもワードローブの中に定着しつつあるようですね。でも準備に時間がない とき以外は、もっと個性的な装い(派手という意味ではありません)じゃないと殿方 を悩殺(dressed to kill)できないかもしれませんよ!

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