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文/堀本真理美

【ELLIOTT SMITH / Everything reminds of her】
WHISKEYTOWN (収録アルバム:figure 8 )(c)2000 Dreamworks Records

 つい十日ほど前、訃報がありました。アメリカのシンガーソングライター、エリオ ット・スミスがLAの自宅で自ら命を絶ったということでした。少し影のある、けれど 繊細で優しい作品で忠実なファンを獲得していた彼ですが、数年来アルコールとドラ ッグ中毒に悩んでいたそうで、恐らく自殺の原因はそのあたりにあるのではないかと 報道されました。
 彼の曲のほとんどは、無骨な外見に似合わずとても繊細で歌声やギターワークもパ ンクバンド出身とは思えないほどでした。彼が作曲をするようになったのは十代の初 めで、音楽的背景の基礎になっているのは父親が聞かせたビートルズとボブ・ディラ ンです。以前にも彼の曲を取り上げたことがありましたが、追悼の意味を込めて再び とても短い一曲をご紹介します。
(以下、歌詞抜粋)

I never really had a problem because of leaving
(離れていくからって、別に問題ないさ)
But everything reminds me of her this evening
(でも今夜はあらゆる事が僕に彼女を思い出させる)

So if I seem a little out of it, sorry
(だから、もしぼんやりしてたら、ごめん)
But why should I lie?
(けど、ウソをつく必要なんてないよね?)
Everything reminds me of her
(すべては彼女を思い出させるんだ)

The spin of the earth impaled a silhouette of the sun on the steeple
(地球の回転は教会の尖塔に太陽のシルエットを突き刺す)
And I got to hear the same sermon all the time now from you people
(そして僕はアンタたちからいつも同じ説教を聞かされるのさ)
Why are you staring into outer space, crying?
(なぜ宙を見つめて泣いてるんだい?)
Just because you came across it, and lost it
(偶然出会って、そして失ったからって)

Everything reminds me of her....
(すべては彼女を思い出させる)

 ちょっと聴いただけだとラヴソングかなと思うのだけど、これはなんらかの事情で 他界した女性を偲んでいる内容のようです。いま亡くなってしまったのは、エリオッ ト・スミス自身だけれど……。
 leave はとても使用頻度の高い単語ですが、自動詞・他動詞で少し違う使い方をします。自動詞なら「去る/退く/出発する」という意味ですが、他動詞のときは加えて「〜を残す/置き忘れる/〜をそのままにしておく/〜を預ける/任せる」といった意味で使います。例としては、He left the job(彼は仕事を辞めた)、Leave me alone!(放っておいてくれ!)、I'll leave it to you(あなたにお任せします)、などです。
 remind A of B は、A(人)にBを思いださせる/念を押す、という熟語ですね。B には人でも物でも当てはめられます。そうそう「督促状」のことを reminder と言う こともあります。
 out of it は非常に口語的な表現ですね。「ぼんやりしている/寝ぼけている/泥酔 している」などの意味で使われます。ロック的な解説をすると、ハッパで飛んでいる ときの形容にも使えます……。
 sermon はちょっとした宗教用語で、牧師や僧侶が説く「説教/説法」のこと。対して、お父さんからのお小言(説教)と言いたい時は preach を使ってね。関連の言宗教用語には、懺悔(confession)、罪(sin)、罰(punishment)などがありますよ。
 さて、34年の短い生涯を閉じたエリオット・スミスですが、レコーディング中だっ たというアルバムは遺作として発表されるでしょうか。
 May his spirit rest in peace....

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