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タイトル
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──本書にはイギリスで撮影された写真が掲載され、現地でのエピソードなども書かれていますが、ジャガーの本をつくるのにイギリス取材はやはり必要だったのですか?(編集部、以下同)
小川: 最初は全部イギリスでっていうことも考えていたんだよね。新しいXというクルマはイギリスで生まれて、今やイギリス系民族資本ではないフォードの中で新しく生産されているわけだけど、やっぱりジャガーだから生まれ故郷の空気に触れながら、撮影をしたり取材をしたりということを絶対にしたかったんだよね。
──日本で撮影するのと気持ちも違いますか?
小川: まず自分達の気持ちが違う。それから写真的なことを言えば、光が違うね。イギリスって日本みたいに島国なんだけど、太陽は大陸的な低い光線が差すんですよ。それが日本と比べて全然違うんだ。
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──イギリス取材の裏話ってありますか?
小川: ロンドンでジョン・トラボルタが泊まってたホテルに泊まったよ。トラボルタを探して、でも居なかったけどね(笑)。ま、これはつまんない話だけど。
 面白いなと思ったのは、本の中にもでてくるんだけど、『ブリティッシュ・ロックへの旅』の取材のときにビートルズの取材でリヴァプールに行ったわけ。たぶん山川さんはリヴァプールに行ったのは初めてだったんだよね。僕は確か2回目だったんだけど。たぶん、彼自身がイメージしてたリヴァプールとちょっと違っていたと思うんだけど、そのときに山川さんが「もうこんなところ、二度と来ないだろうな」と言ったんだよね。今回、Xタイプの新しい工場っていうのがリヴァプールにあって、正確にはリヴァプール郊外なんだけど、山川さんが「……来ないだろうな」という場所に我々はまた来てしまったんだね。
──その頃とリヴァプールは変わっていましたか?
小川: そうだね。特に湾岸には再開発された地区があって、かなりきれいになってたね。
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──小川さんはイギリスのクルマは好きなんですよね?
小川: 大好きだね。イギリスのクルマそのものよりも、その向こう側にある世界観が好きなんだよね。イギリスのクルマって、はっきり言ってひと昔前まではボロだった。ローテクだったというか……コンピュータ化されていなかったというか、とにかく遅れてたんだよね。だからクルマそのものの魅力はどうかな。うーん、それでも好きだったのかな。いずれにしてもイギリスのクルマには、背後に潜むいろんなイメージがあると思うんだ。たとえばエンジニアの顔だとか、どんなストーリーで生まれてきたのかとか、階級社会があるからこそこのクルマが生まれてきたかとか。イギリス特有のバックグラウンドがあるんだよね。
 オープン2シーターカーっていうのは、寒風吹きすさぶスコットランドみたいなところで、真冬でもオープンにして乗るわけですよね。それっていうのは、イギリス流アウトドアスポーツの自虐的行為そのもので、そういうイギリスならではというか、男らしいというか、そういうイメージがすごく好きなんだろうね。
 だからイギリス車に目が向いたり、イギリス車の匂いっていうのがすごく身体に合ってるような気がする。
──クルマに限らずファッションとかブランドとかイギリスのものが好きですか?
小川: 考えてみると、けっこう多いかもしれないね。たとえばスーツやジャケットなんかは未だにイギリススタイルのものが多いしね。
──そういう小川さんが何故今ジャガーなのですか?
小川: ジャガーに最初に乗ったときは、いろんな意味で潤いとか癒されたいとか、あとはイギリス流のスポーティさとかね、そういうものを求めていたと思うんですよ。この本にもでてくるけど、十年くらい前の話なんだけど。それからずっとイギリス車できてるわけだけど、なぜそうなのかということを自分でも確認したかったんだね。
 またジャガーに気持ちが向いてきたのは、そんなときだったわけです。
──山川さんは本書の中で「ジャガーは変わった」と書いていますが、小川さんの意見はどうですか?
小川: Sタイプ以降は確かに新世代のジャガーだから、変わったんだと思う。使っている部品だとかフォードゆずりなんだね。それは今の自動車産業がおかれている効率化だとか、どうしても避けられない側面でもある。
 ただ問題は、イギリスそのものがまったく昔のイメージかというと、そうではないってことだと思う。あの頃と同じものがイギリス的かというとそうじゃなくて、たとえば1991年と2001年とでは、ぼく自身のイギリス観が全然違う。そういうなかでSタイプとXタイプというのは、今の時代のジャガーのテイストっていうのが確立されていると思うし、あれこそが今のイギリス的な存在なんじゃないかと思うよ。
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◎写真=小川義文
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