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タイトル
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──クルマを好きな人が自分の愛車を写真に撮るというときのアドバイスをお願いできますか? 小川義文流自動車写真の上手な撮り方を教えてください。(編集部、以下同)
小川: う〜ん、あるけど……。テクニカルなこと?
──素人が撮るときのコツというか、簡単なアドバイスを。
小川: 自動車は、自分のイメージの中では都市に生息するものだし、走るものなのなんだよね。じつは自動車のデザインっていうのは、たとえば遠景で見たときに地平線とどういうふうにシンクロするのか、とか。ビルの谷間に置かれたときに、ビルが車体にどう映り込むのか、とか。クルマ単体で自動車を見たり撮ったりするっていうのは、自分ではナンセンスだと思っているんだ。つまり、自分の好きな自動車写真というのは、都市に同化している、都市と一体化している自動車のある風景写真なんだよだね。
 だから、一般の自動車好きの人が愛車を撮るとしたら、背景にものすごく気を遣ってもらいたい。たとえばすっきりさせたり、背景の色を考えたりとか、フレームの中でクルマの色とのバランスを考えたり。
 自動車は、どちらかというと目線くらいのアングルよりも、中腰とかしゃがんだくらいのアングルの方がクルマがシャープに安定感があるように見えるんだよ。だから、いつもよりちょっと低い位置から背景のバランスを考えて撮ると、なかなかいい自動車のある写真というのが撮れると思います。それが、いちばん簡単な小川義文流かな。
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──『ジャガーに逢った日』では、いったい何枚くらい撮ったんですか? 1冊つくるのに何枚くらい撮るものなんでしょう?
小川: 必要最小限しか撮らないからね。そうだな……、だいたい200カットくらいかな。
──今回の撮影で心掛けたことは?
小川: それはね、テクニックとかじゃなくて、ジャガーに対する愛情だけ。
──小川さんは、写真を撮るときに必ず自分の中でタイトルをつけるというお話をうかがったことがありますが、ジャガーの写真にも一枚一枚タイトルがついてるんですか?
小川: シャッターを切ろうと思った瞬間に、タイトルは考えてるよ。長いタイトルじゃないけど、瞬間的に思うわけ。
──本書のタイトルに関しても、はじめ山川さんは『ジャガー偏愛学』というのを考えていたそうですが、『ジャガーに逢った日』に決まるまでにどんなディスカッションがあったのですか?
小川: 本を制作していく過程で、ページ数だとか紙だとか制作にまつわるいろんなことがクリアになってきた段階で、どんな本になるのかというのがだいぶ見えてきたわけだね。そのときに、『ジャガー偏愛学』だとちょっとカタイんじゃないかっていう意見があったりして。自分自身としてはそのタイトルも気に入ってたんだけどね。
 あとは、本のタイトルっていうのは書店に置かれたときに唯一読者に対してのキャッチになるわけだから、やっぱり読者が手にとりやすい、入ってきやすいってことを考えないといけない。ジャガーマニアに限らずいろんな人にジャガーの魅力とかイギリスの魅力を感じてもらいたいというのが狙いだったから、『ジャガーに逢った日』の方が合ってるんじゃないかという話になったんだね。こうなるまでに、『ジャガーに乗った日』という案もあったね。
 ただ、『ジャガーに逢った日』というのがすごくいいなあと思ったのは、山川健一も小川義文もこの本のプロデュースをしてくれた二玄社の大川悠さんもそうなんだけど、みんなそれぞれに自動車が好きになったときから、頭の片隅に常にジャガーっていうのがあるんだね。「いつか、ジャガーに乗ってみたい」とか、「ジャガーを初めて体験したとき」とか、自分の自動車にまつわる長い時間の中で必ずジャガーと遭遇したポイントがいくつかあるわけだね。だから、こういうことなのかな、って。このタイトルは自分の中でもこういう意味なんだ、と。
──そういう気持ちとシンクロしたタイトルなんですね。
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◎写真=小川義文
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