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タイトル
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──小川さんは雑誌「NAVI」の表紙や特集の写真を毎号撮ってらっしゃって、山川さんとコラボレーとする連載「甘い生活」っていうのもやっていますよね。
 それがこの本では贅沢なことに撮り下ろしであり、デイムラーの項をのぞけば基本的に書き下ろしですよね。これを「NAVI」のような雑誌に連載するのではなくて、単行本にした理由は何かあったのですか?(編集部、以下同)
小川: 作家が雑誌に連載をつづけてそれを単行本化するっていうのは、今の日本のひとつのシステムだよね。自分としては、それにどうしても違和感があって、出版社の台所事情だとかいろんな事情があって、ベルトコンベアみたく連載をまとめて1冊にするっていうのは誰しもが考えることで、それはいいんだけどね。
 ただ、この本では連載をためたものを1冊にするっていうのではなくて、限られた時間の中で集約して書いて、撮って、誰の目にも触れたことのないものを読者に感じてもらいたかった。……という思いが、コンセプトのなかにあったと思うんだ。これは今後もずっとこうしていきたいと思っている。
 あとは種明かしになっちゃうけど、制作費の問題だとか、いろんなことがあって書き下ろしは難しいんだよね。だけど、連載を集めないと単行本化できないっていう今のシステムを覆したかった、という部分はあるよね。そういうことへのチャレンジ。こういう作り方っていうのもあるんだっていうことを再認識してもらいたかったところもあったんじゃないかな。
──この本をどういう人に読んで欲しいですか?
小川: これは山川さんと僕の共通したコンセプトだと思うけど、ジャガーマニアとか自動車だけが好きな人に読んでもらおうと思わないし、そういう人達が読んでもあまり楽しめないかもしれない。それよりも、男性女性かかわらず、普通の人に読んでほしい。自動車の背後に潜む楽しいイメージってこんなにいっぱいあるんだということをもっと感じてもらいたいんだよね。
 たんなるジャガーの本にしたくなかったんだよね。
 こういう本を作ってみたいというのは、山川健一と付き合うようになってからずっと思ってたんだよ。自分はずっと自動車にどっぷり浸かって生きてきたから、クルマの魅力を言葉で、つまり自動車で文学してみたいっていうのは長年の夢だったんだね。写真だけですべてを表現しようだなんて、そんなもの出来ると思ってなかったから。クルマにはこれだけ見えない部分に潜む素晴らしい魅力があって、それを表現するには文学というものの力を借りないと、自分の想像したものが出来ないと思ったんだ。
──本文を読むと、山川さんの文章中に小川さんがいっぱいでてきます。普段も仲がいいんですか?
小川: うーん、実は……なんてさ(笑)。
──帯には、「ジャガーと男達の恋愛物語」ってありますし(笑)。
小川: いや、もうね二人の事務所も近いし、3日に一度は会ってるというカンジかな。
──最後に、「あとがき」にもありましたが、今後この企画はふくらんでいくのでしょうか?
小川: ふたりともロックだとか自動車だとか大好きなものがいくつかあるわけだけど、とにかく自動車の魅力というものをまだまだ活字にしきれてないと思うわけ。巷にいろんな自動車雑誌や印刷物があるけれども。
 よく自動車には未来がないとか言われてるけれど、自動車ほど面白いものはないと思うんだ。自動車の本質的な魅力をもっと読者に提供していきたいと思うし、ただしそれは自分たちの興味のあるクルマに限定されるかもしれないけど。この後もいろいろ考えてはいるし、この本がある種のシリーズになったとしても毎号毎号そのクルマ、そのクルマのもたらす世界観、そのクルマがどういうバックグラウンドで生まれたか、そういうことで本の作り方、内容っていうのは全然変わったものになっていくと思うよ。
 ある本はそのクルマを開発した人の人物クローズアップになるかもしれないし、ある本は砂漠をテーマにして、山川健一でいえばたとえばランボーがテーマになったりするかもしれないし、自然がテーマになったりとか、都市論がテーマになったりとか、自動車の本でありながら核になる部分は何か我々の興味、フォーカスされるものによって、変わっていくだろうと思う。とにかく自動車の本当の楽しさを知ってもらうための、自動車を中心とした文学になるのかな。
──もう車種は決まっていますか?
小川: 今準備しているのは、レンジローバーっていうクルマがあって、このレンジローバーでイギリス流アウトスポーツの魅力とか、自虐的な世界観だとか、そんなものを探っていきたい、表現していきたいというところで準備中なわけです。
──長い時間、ありがとうございました。
小川: こちらこそありがとうございました。
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◎写真=佐藤朋子
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